T定規とそろばん
昭和29年(1954)、新入社員の研修会で山口先生が、黒板に大きな文字で、「一生懸命」と「一所懸命」のふたつのことばを書かれたことを記憶しています。 このように励ましてもらったことばや、格言や名言など人生を語る言葉は多くありますが、自分のこころにひびく感動した「ことば」は、いつまでも忘れることは出来ません。その後「ことばへの旅」として、折にふれて手帳に綴っています。 その中の一部を記載します。
(1)安全五原則 1.安全に、安易な妥協は許されない 1.安全確認は、総てに優先する。 1.安全には、勇気ある態度で臨む 1.基本動作は、正しく守る 1.自分を守るのは、自分自身である。 最後のひとつは、いいことばです。
(2)設計者指針 (昭和56年3月) 1、Q・C・Dの基は設計にあることを銘記せよ。 2、「いかなるものをつくるか」と共に「いかにしてつくる か」を考えよ。 3、標準化は全ての基盤である。全員でUFOを推進せ よ。 4、プロの意識を持ち、プロのスピードで処理せよ。 5、技術は日進月歩である。設計者は常に向上せよ。 永井主幹が主役になって書かれたことばです。よく吟味 され、設計の基本の思想がもり込められています。この ことばをカードにして全員に配布され唱和しました。 この言葉は、昭和45年に発行された「東芝設計指針」が 下敷きになっています。 その中から、次のことばを追加したいと思います。 6、設計の意図は、余す所なく図面に書け。 7、設計者の責任は、その製品が消滅するまで残る。 構造設計した約二千台の変圧器は、その後どんな経過を たどっているのだろうか。 「もう寿命ですね」と云われ るまで、トラブルなく運転を続けてほしいと、願って います。
(3)目標管理 (昭和60年) 出来る 出来る 必ず 出来る やる気があれば 必ず 出来る 出来ないと 思えば 出来ない 出来ないと考えず 出来ると信じ 永遠に自分は進歩したい 出来る 出来る 必ず 出来る 三重工場の延与部長が、半期の目標を説明した後、 全員にこのメモを配り目標の達成を誓いました。 自分は永遠に進歩したい・・プラス志向でいい ことばです。
(4)恋の東芝 浅野のギャング 金と命の鋼管会社 京浜工業地帯の鶴見駅から、乗り換える鶴見線沿線には 東芝鶴見工場(芝浦製作所)・浅野ドック・日本鋼管 があり、労働者の間に、昔はやった川柳だと聞きました。 私達の職場でも、職場結婚した人達が何組もありました。
T定規とそろばんで変圧器の構造設計を始めて、最後のドラフターを使って 平成15年68歳で設計業務を終えました。
川地光雄 以上 |
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